移住者の声

この場所から新しい人生がはじまった

田中さん(仮名)

  • 海のある生活
  • 釣りと家庭菜園に夢中
  • リノベーションが趣味

憧れの海のそばで暮らす

自前の船
自由気ままなひとり暮らしを堪能

この上ない快晴に恵まれた取材日。どこまでも蒼い海と空の境目にながめ入っていると、自宅から徒歩1分の場所にある防波堤に立ち、慣れた手つきで、ヒュン! と竿をしならせる田中さん。

こちらを振り返り、子どもみたいな無邪気な笑顔をみせてくれた。

実は田中さん、「家を買う前に船を買った」というエピソードをもち、引退後にとことん釣りライフを楽しむために上天草に移住した強者(つわもの)だ!

念願だった海のそばの物件は空き家バンクで見つけることができた。畳をフローリングに変えたり、壁紙を貼ったり、サッシを整えたり…と、いまも自らの手でリフォームを繰り返し、心地いい“我が家”に整えている最中だ。家の隣には畑もある。

「午前中は畑仕事をして、昼から釣りに行って。疲れたら家に帰ってきて、リフォームに精を出して…そんな自由気ままなひとり暮らしを堪能しています(笑)。これまで北九州で長距離運転の仕事をしていたから、何かしら体に負担があったんですよね。ここに移住してからは、そのストレスがぴたっとなくなって、本当に調子がいい。気持ちもずいぶんと穏やかになったのを感じています」。

漁村ならではの食と交流

漁村風景
漁村の方たちのあたたかさが身にしみる

自宅のまわりは高齢の方が多いが、移住して間もないにも関わらず、その方たちと仲良くやっていけているのは田中さんの飾らない、気さくな人柄によるものだろう。

「どこから来たね?」「ああ、こげんしてここに来たとですよ」…そんな会話からはじまる関係。いまでは草刈りを手伝ったり、近所の神社の催しものに参加したりと、確かな交流につながっている。

「隣近所はもう全部知り合いになったと思う(笑)。60代の私でも若かほう。畑でできた野菜を配ったら、みなさん喜んで『こがん料理つくったよー』て料理を持たせてくれる。向こうのほうに漁師さんがおるばってん、この前も、こげん太かエビばくれてね。味噌なんかも持ってきてくれる。私からは、代わりに高菜漬けの油炒めをやるとよ。物々交換、気持ちの交換たいね」。

県外から単身移住し、どこの誰かわからない自分を受け入れてくれた漁村の方たちのあたたかさが身にしみると、感謝の言葉をつぶやく。

「本当にありがたか。うれしか。みなさん素朴な方たちばってん、私にはここの暮らしが合ってる」。

ささやかな生活を大切にする

笑顔で応える田中さん(仮名)
あたらしい人生がいま始まった

「仕事を引退したあとは田舎に古民家を買って、釣りをして、のんびり暮らしたい」。

ささやかだけど、大きな夢を抱えて、田中さんは上天草に移住した。購入した古い家は手をかけるところも多かったが、DIY経験をいかして、こつこつと“自宅”をつくりあげた。

室内には、寝室やリビングとは別に、ゲストハウスのようにきちんと整えられた部屋も1室ある。

「熊本県内に住むひとり息子や、友だちがいつ泊まりに来てもいいように」と、父親の顔ものぞかせてくれた。

敷地内の畑にはみずみずしい野菜が実り、隣の小屋には、趣味の釣り道具がぎっしり。目の前の波止場には自前の船が浮かぶ。

夕飯のおかずには、チヌやキジハタなど釣れたての魚をさばいていただく毎日が待っている。それはすべて、田中さんが求めた“生活”。

人生に必要なすべてが、このちいさな漁村に詰まっていた。

田中さんにとって桃源郷のような場所で、あたらしい人生がいま始まっている。

田中さん(仮名)

福岡県から2020年秋に上天草市に移住。

  • 移住時の年代:60代
  • 家族構成:単身
  • 移住スタイル:Iターン

※ インタビューの内容は2020年12月の取材時のものです