移住者の声

2人で生きる意味を ここで噛みしめて

伊藤さん

  • 夢だった島暮らし
  • 充実の空き家バンク
  • 美しい景観を守る農業

即決! 農地付き空き家にひと目惚れ

充実の空き家バンク
空き家バンク情報の充実度はすごい

庭で採れた金柑をその場でほおばり、温かいお茶を体に流し込む。冬の取材だというのに私たちは風に吹かれ、あえて外で語り合うことを選んでいた。不思議と寒くはない。

目の前には、夫婦が毎日鍬を持って耕す畑がある。古いけれど大きくて立派な平屋がある。裏には山や段々畑が広がり、そこから海が見える。

山暮らしをしたかった夫と海暮らしをしたかった妻。それをちょうど良いバランスで実現できる小さな集落の、農地付き空き家にひと目惚れしたのが妻の由佳さんだ。

「写真を見てすぐココだ! と胸がときめきました。とにかく、上天草の移住ホームページに載っている空き家バンク情報の充実度はすごい。写真の量と質、情報のきめ細やかさ、周辺環境までこれでわかるから、土地勘のない私たちにはものすごくありがたくて。このクオリティはなかなかないですね」。

夫婦は偶然にも、お互い若い頃から島暮らしに憧れていた。

「私たちの“終の住処(すみか)”は上天草にあったんですよね」。

本当にやりたいことを一生懸命やる

夢だった島暮らし
「ずっと生きていく町」としてこの町に移り住んだ

2人が「ずっと生きていく町」としてこの町に移り住んだのにはもう1つ理由がある。それは、由佳さんを襲った病気だ。「結婚してすぐ腎臓ガンになって、余命宣告を受けたんです。

仕事、畑、私の看病、愛犬の世話…夫には本当に大変な思いをさせたけど、色んな奇跡が重なり、癌は寛解しました。お医者さんもびっくりしてます。

でも、何だかもう怖いものがなくなりました。いつ、“生きる”ことの終わりがくるかわからないんだって2人で話して。だからもっと1分1秒を大切にしないといけない。私たちには本当にやりたいことがあるから、少しでも早く踏み出さないといけないよねって。そんな思いでこの町にきたんです」。

取材中、夫の秀さんは何度となく「美しい景観を守る農業を大事にしたい」と口にした。興したり、耕したり、植えたり、収穫したり。農に従事しながら、自分たちの住む地域を自分たちで守っていくという考えを大切にしたいという。

「やりたいと思っていることを一生懸命やってると、誰かが手を差し伸べてくれる。自分たちが思っていた以上に、この町の人々はあたたかいと感じています。上天草の人々は最高です!」と秀さん。

「ここは小さい集落だけどよく人が通る場所で、畑にいると誰かしら声をかけてくださる。そうやって広がる交流を大事にしていくと、この場所がどんどん愛おしくなっていきます。やるべきことをやることが、私たちを受け入れてくれた地域への恩返しになるのかなって思うんです」と由佳さんも語る。

秀さんは最近、アオリイカを釣るのにハマっているそうで、移住者交流会の“魚捌き教室“で知り合った同じく農業を志している同年代の男性と意気投合。釣った魚や育てた野菜を話のつまみにしながら交流が続いているそう。

「地域貢献もしたいし、これから移住してくる人の力にもなっていきたいと思っている」と目を輝かせながら話してくれた。2023年春からは熊本県立農業大学校へ通うことが決まっており、これから1年かけて就農プランを練っていく。

今は畑で色々と実験の日々だそうで、農家としての本格始動は2024年からの予定だ。「自分たちは“伸びしろ”しかないと思ってここへ来ました」。ひとつずつ目標に向かっていく日々が、今の2人のすべて。その一瞬一瞬は、決して誰にも奪えない。

伊藤さん

福島県から2022年夏に上天草市に移住。

  • 移住時の年代:40代
  • 家族構成:2人
  • 移住スタイル:夫婦

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※ インタビューの内容は2022年12月の取材時のものです
※ 協力:上天草市セカンドライフ支援ネットワーク