移住者の声
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今より少しだけ あたらしい自分へ
甲斐さん
- 前職はカフェオーナー
- 昭和レトロなゲストハウス
- 古民家をセルフリノベーション
古民家をゲストハウスにリノベーション
「泊まりに来てくれる方も、お客さまをお迎えする私も。心がふんわり“かる〜く”いられるような場所を目指しています」。初めて来たはずなのにどこか懐かしい、昭和の香りがただようレトロな空間で、甲斐さんは穏やかに話してくれた。
宮崎県の人気観光地・高千穂で、カフェオーナーとしてキャリアを積んだ甲斐さんが、次のステージに選んだのが上天草市大矢野町の野釜島に新しく誕生するゲストハウス「ふわふわ」の運営。2023年夏の開業を目指している。
移住のきっかけは色々あるが、人気店のあまり“忙しくなりすぎていた”カフェ業と、自分が本当に提供したいサービスとのギャップを感じ始めていたから。そこで今いる場所から少し離れて、新しい気持ちで、自分らしい仕事をつくりたいと思った。
ところが、いざ物件探しをしても、なかなか希望の物件と出会えなかった甲斐さん。そんな時、一番の理解者であるご主人がもともと好きだった上天草を勧めてくれたそう。細い道を少し登ると急に視界が開ける「ふわふわ」は、空き家バンクで見つけた。少し高台にあり、眼下に広がる海の青が心地いい、静かな場所だ。
「この景色をひと目見たとき、本当にビビッときたんです。これまで思い悩んでいたことが一気に吹き飛ぶくらい、きれいで雄大だったから。家は古かったけど自分たちでDIYすれば何とかなりそうだったし、ここに移住してゲストハウスをやりたいと家族に伝えました。
私、言い出したら聞かない性格なんです(笑)。夫も息子も、そう決めたならしょうがないよねって応援してくれましたね。そして息子が言ったんです。『お母さん、この場所にはロマンがあるね』って」。
癒やし癒やされながら自分らしい時間を
2021年12月。甲斐さんは宣言どおり、単身上天草に移住。最初のうちは宮崎と上天草を往復し、週末になると手伝いにきてくれる家族と協力しながら、少しずつDIYを進めていく生活がスタートした。
壁を塗り、ふすまや床板を張り替えた。この家に元々あったものをなるべく残し、活用しながら、約1年をかけて空間を整えてきた。
コンセプトは「昭和レトロ」。古いラジカセや黒電話、昔の少女漫画などが絶妙なアクセントになり、どこかホッとする優しい空気感をつくり出している。甲斐さんはここで、1日1組だけを迎えるゲストハウスのオーナーになる。
「自分自身も癒やされながら、お客さんとのコミュニケーションを楽しみたい」。畑で育つ野菜を使って一緒にサラダをつくったり、とれたての魚をさばいたり、数年後実をつけるブルーベリーやレモンの収穫作業を一緒にしたり甲斐さんが思い描くゲストとの時間は実にカラフルだった。
「DIY期間は大変なことも多くて、めげそうになったこともありました。でも、私にはこの町だと決めて、高千穂を出てきた。家族の応援もあるし、簡単にあきらめるわけにはいかないと思いました」。また家族と離れて暮らすことで、お互いがそれぞれに対して感謝の気持ちを感じ、より優しくできるようにもなったそうだ。
「夫と息子はなんやかんや言いながらも(笑)、2人で一緒に料理を作ったりしながら、新しい生活が板についてきたようです」。さらに心配だった交友関係だが、単身移住してきた甲斐さんに、集落のご近所さんや移住者交流会で出会った方々とはとてもいい関係性ができ始めたという。
「下のおばちゃんの家にお茶しにいったり、ご近所さんが『甲斐さんこれ食べんね』と持ってきてくれる魚の代わりに、自家製の柚子胡椒をプレゼントしたり。交流会で知り合ったご夫婦とは早速一緒に食事に行って、また近々行きたいねって話してます」。
「これは本当に私がやりたかったこと?」。立ち止まり、自問自答し、選択の舵を思い切って切り直したことで、甲斐さんの新しい人生が始まった。追い風をいっぱい帆にはらませて、少しずつ、前進していくつもりだ。
甲斐さん
宮崎県から2022年春に上天草市に移住。
- 移住時の年代:50代
- 家族構成:1人
- 移住スタイル:単身
※ インタビューの内容は2022年12月の取材時のものです
※ 協力:上天草市セカンドライフ支援ネットワーク