移住者の声
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何かと何かをつなぐ役割に
成田さん
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美容師からレザークラフト職人に転身
屋号の「リベット」とは、鋲(びょう)のこと。おもにポケットの補強などに使われるそれは、ジーンズの最も特徴的なアイデンティティともいえる。
デニムの生地間を「つなぐ」役割を果たす、名脇役であるリベットの名を借りて、自分たちが手がけるレザーアイテムが「何かと何かをつなげる」存在になるようにと夢を託した。
こんなストーリーもまた、成田敏泰さんの真摯な人柄を感じさせるエピソードだ。
2019年12月。愛知県名古屋市からふるさとの上天草へUターン。
名古屋を中心に店舗展開をする美容室のサロンスタッフとして活躍するなかで、「髪を整える」だけでなく、仲間とともに作品をつくったり、ショーやイベントを演出したりといった、オリジナルのクリエイティブを追求する仕事に興味をもつようになった。
退職後は、プロ専用の商材を扱う店で働くようになり、そこで特に惹かれたのが、スタイリストたちが日頃使用する革のシザーケースだった。
「元々ファッションが好きで、ふだんから革製品や革靴を愛用していたこともあって。ものづくりの世界に飛び込んでみよう、自分でやってみようと思ったのがきっかけです」。
自分の声に従って生きる
「リベット」は、成田さんと、パートナーである矢野さん(現在は鳥取に修行中)の2人からなるユニット。メイン商材は、機能性とデザイン性を兼ね備え、カラーバリエーション豊富なシザーケースだ。
徐々にオーダーが増え、売上を伸ばしていくなかで、レザークラフト職人としてより集中できる仕事環境をかまえたいと、ふたり一緒に上天草への移住を決意。最初に工房をかまえたのは自然豊かな維和島だった。
「当たり前ですが、都会とは時間の流れが全然違います。作業に没頭できる環境が手に入ったことはうれしいです。移住のタイミングで結婚し子どもを育てていますが、自然と隣り合わせの環境で子育てできるのもいいですね」。
実は成田さんの実家は、花の生産農家。県内でも生産量の多いかすみ草などを育てており、幼い頃から、花づくりに精を出す両親を見て育った。
「今はスタイリストさん向けのシザーケースやショップに卸すベルトなんかをつくっていますが、ゆくゆくは農家さん用のシザーケースに挑戦したい。あと家業は継げなかったけど、いずれはどこかで上天草の花のすばらしさを伝える花屋をやりたいっていう夢もあるんですよ。僕なりの方法で、地元を想う気持ちを大切にしていけたら」。
直感とつながり、人とつながりながら、成田さんは、成田さんの思う道をまっすぐ歩いている。
最後に、移住先で起業を目指す人びとへのメッセージをいただいた。
「開業したからずっとこれ1本で食べていく、と決めつけなくていいと思うんです。好きなものって変わっていくこともあるし、増えてもいい。大事なのは、その時々の自分の感性に正直に生きること」。
正解はひとつではないからこそ、そのあたたかなエールは、ふるさとで役割を果たす喜びに満ちていた。
成田さん
愛知県から2019年冬に上天草市に移住。
- 移住時の年代:20代
- 家族構成:3人
- 移住スタイル:家族
Instagram(leathecraft&works Rivet)
※ インタビューの内容は2021年11月の取材時のものです
※ 協力:上天草市セカンドライフ支援ネットワーク