移住者の声
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50代から始まった 豊かなセカンドライフ
井澤さん
- 早期退職して夫婦で移住
- 白涛の別荘地でセカンドライフ
- 新たな夢に向かって準備中
「海の見える場所に住む」という2人の夢
ふんわり、しっとり食感の手づくりパン。挽きたての豆が香ばしい、ハンドドリップコーヒー。やさしく頬をなでて通り過ぎる、海からの蒼(あお)い風。心地よさで満たされるキッチンに立ち、さちさんはこう話してくれた。
「庭に生えている杏の実を収穫してジャムをつくったり、料理に彩りが欲しいなと思ったときには近くにハーブがあったり。洗濯ものを干していると、ボーッと遠くで汽笛が聞こえてくる。移住して2年経ったいまでも、日々変わる海の表情が何よりのぜいたく。雨上がりのキラキラした海を眺めているだけで癒されます。そんな、なんでもない時間に小さなしあわせや喜びを感じるんです」。
「若いときは、“いつかは海の見える場所に住みたい”みたいな憧れをもってるものじゃないですか。ずっとサラリーマンをやっていたもんで、それは無理だよな…と半ばあきらめてたんです」。
お湯を注ぐケトルを片手にそう振り返る康明さんは、コロナ禍で募集が始まった早期退職制度を利用し、新卒から長く勤めていた会社を退職。多かれ少なかれ仕事にストレスを感じていた時期だったので、願ったり叶ったりの制度だった。
康明さんの最後の勤務地は、三重県。実はそれ以前から、さちさんが天草・河浦町の生まれだったこともあって、「海の近くに住む」という夫婦の夢は、少しずつ現実味を帯びてきていた。
「家を買おうか?という話が持ち上がって不動産屋さんで探し始めてから、たぶん7〜8軒は見たと思うんですが、金額的にも条件的にも、なかなかいいと思う物件に出合えなくて。やっぱり“海が見える家に住むなんて簡単ではないよね”とガックシきてたんですが、最終的に、色んな人の縁があってここにたどり着いたんです」と語る康明さん。
定年退職後の夢実現に向けて、実際に移住する2年ほど前にこの家を手に入れていたそう。それが康明さんの早期退職により、夢が少しだけ早く叶ったカタチになったのだ。とはいえ中古物件のため、手をかけたところも多い。キッチンやトイレ、クローゼットなどは地元の業者さんの力を借りてリフォーム。少しずつ、少しずつ、住環境を整えていった。
手に入れたのは、“やさしい時間”
現在、さちさんは週に3日間ほどカフェで働いている。一方、康明さんは庭にテーブルとイスやピザ窯をつくったり、コーヒーの焙煎に挑戦したり、DIYをしたり…と“次なる夫婦の夢”に向けて準備模索な日々。
家庭菜園にも興味があり、歩いて行ける場所に畑も借りたそうだ。別荘地であることから近隣住民は少ないものの、移住者交流会をきっかけとしたつながりや、愛犬のマックスがいることで生まれた縁も。何かと気にかけ、よくしてくれる近所の方に助けられることも多いという。
そんな上天草の人に対して、「人が本当にいい!」と2人は口をそろえる。「病院や、役所の人なんかもすごく感じがよくてやさしいんですよ」。
“50代からのセカンドライフ”をスタートさせた井澤さん夫妻が、高台にある白涛(しらと)の別荘地の家で手に入れたのは、“やさしい時間”だった。
これから移住を考えている人に向けてアドバイスがあるとすれば? と尋ねると、「理想とする生活が実現不可能に思えても、心のなかに夢を持ち続けていれば、そこに引き寄せられて、たどり着くこともできるのではないでしょうか」と2人らしい言葉がかえってきた。
ひとつ夢を叶えた夫婦はまた、「美しい上天草の景色とふたりの趣味を生かした何かを始める」というふたつ目の夢に向けて、歩幅を合わせて歩きはじめた。
ここでなら、2人ならできる。そう信じている。
井澤さん
三重県から2021年秋に上天草市に移住。
- 移住時の年代:50代
- 家族構成:2人
- 移住スタイル:夫婦
※ インタビューの内容は2023年12月の取材時のものです
※ 協力:上天草市セカンドライフ支援ネットワーク